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富永直之・パラオ在住。ダイビングショップ・ブルーマリンのダイビングガイド。


by bmtomi
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動画の配信サービスを初めて10か月余り、
ダイビングを始めて以来、
個人的な経験として、こんなに水中撮影を行ったことは今までありません。
撮影についてたま~に質問いただきますが、
はっきり言ってほとんど何も答えられません。。。。。。。

僕はカメラに関してはまったく頼りにならないガイドです。
というのは僕がたどってきたダイビングの歩みによるものですが、
ダイビングを始めたのは大学生の時で、
その時はデジカメはなくカメラと言えばすべてフィルムカメラでした。
当然大学生には大変高価なもので、ただでさえダイビング代を
アルバイトで稼ぐのが大変だったので、
カメラなんてとても手に入る代物ではありませんでした。

その後はすぐにダイビング業界に入り現在に至るわけですが、
お客様をガイドすることに情熱はあっても、
自分が撮るということには、ほとんど興味も関心も生まれませんでした。

そんな経歴の自分なので、撮影機材のことや付属の部品、
上手く映像の加工をしてくれるアプリ、うまく撮れるカメラの設定、
etc、、、、
はっきり言って皆さんの方がよっぽど詳しいです。
何も知りません。

それでもまぁなんとか人様にお届けできる程度に撮影がこなせているのは、
たった2つの理由によるものです。
1つは自分のホームグラウンドの海で、よく知るポイントで潜っていること、
もう1つは被写体(魚)へのアプローチに関してだけは
プロガイドを長年続けてきた結果として多少心得ていること、
以上の2点に尽きるというか、それしかありません。

被写体に寄ることについては、
今から書く話はあまり参考にはならないかもしれません。
なぜなら今はコロナでダイビングポイントは毎回貸切、
僕だけが好きなように撮影している、という状況だからです。
でも何が言いたいか、ということがお届けできたらいいな、と思ってます。

前置きが長くなりましたが、
撮影の際は要するに魚を追わない、ということに尽きる、というのが僕の考えです。
動画を見ていただいている方の中には、もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、
ダッシュして追いかけて撮った映像、というのは基本的にありません。
全てゆっくり近寄っているか、向こうから寄ってきたものを撮っている、
これだけです。

ダッシュで距離を詰めると相手は当然驚いて逃げます。
一瞬距離が詰まるときも、たまにはあるかもしれませんが、
そんなことをしていては魚はだんだん警戒して、
ますます近寄らせてもらえなくなったり、そのポイントには寄り付かなくなったり、
数を減らしたり、住処を変えたりもします。
つまり相手を驚かせず、逃げ出すほどには警戒心を持たせないようにして近寄っていく、
というのを心掛けて撮っている、ということになります。

そりゃ~お前、自分一人で好きなように潜ってるからそんなこと言えるんだ、
とお叱りをうけそうですが、確かにそうですね~。
複数のダイバーで被写体を共有し、人数も時間も数も制約があるのが
通常のダイビングの状況なので、アンタそんなこと言ってられないよ実際には、
というのもよくわかります。

今は自分が撮影する側の経験をさせてもらっているので、
それがこの先、ガイドをまたさせてもらうことがあれば、
自分の中で何かしらの良い方向に、この経験が生きてくると嬉しいです。

ではまた~




# by bmtomi | 2021-08-07 12:07 | ダイビング

海底砂漠

本日は会員サイトに新しい動画をUPしました。
今回ご紹介したポイントは海底砂漠です。
BMのオリジナルポイントです。

そこはサンゴ礁を過ぎると一面に砂地が広がり、
流れの関係で高低差1m以上もある砂丘のような、
山脈のような地形ができています。
周囲360度すべて砂地となり、
パラオではほかに類を見ない、とっても不思議な世界です。

実は北部にも同じような地形が出来ている砂地の場所がありますが、
そこは海底砂漠ほどのサンゴ礁はないので、
ダイビングポイントとしては海底砂漠の方が面白いです。

海底砂漠_c0100239_15231266.jpg

この海底砂漠、パラオのダイビングポイントの中では類似のポイントがないせいか、
他所では見たことがないような魚が出てくることがあります。
実は今回の撮影時にも何かの幼魚だと思うのですが、見たことがない魚に出会いました。
撮影前に逃げられたうえに、何系の幼魚なのかも推測ができず
結局なんだかわからないままですけど。。。。

それはともかく過去にはウナギギンポという魚に出会いました。
これは個人的にパラオにきてから、その時の1回しか見たことがありません。
ざっと記憶をさらってみる限り、パラオで1度しか見たことがない魚、
というのはウナギギンポ以外にはすぐに出てきません。
なんにせよパラオにはいろんなポイントがあって楽しいです!!!

ではまた~



# by bmtomi | 2021-07-29 15:38 | ダイビング

オスって、、、

先日バラフエダイの産卵を撮影しにいきました。

その際、個人的に初めて見た光景があったのですが、
その前にパラオにおけるバラフエダイの産卵とは

①毎月満月前に特定の場所に数千匹のバラフエダイが集まると、
②早朝の時間帯に、1匹のメスに複数のオスが群がり、
③上昇していくメスが放出した卵にオスが追随して精子をかけて受精させ、
④その受精卵を潮の流れに乗せて拡散させて種族の繁栄をはかる行為です。

オスって、、、_c0100239_15053841.jpg
集結したバラフエダイ

オスって、、、_c0100239_15085518.jpg
放精放卵(団子状にかたまったバラフエダイの下のモヤモヤがそうです)


放精放卵時に、
近くにマダラタルミなどのエッグイーターがいると、
放出されたそばから下の写真のように卵が喰われてしまいます。

オスって、、、_c0100239_15113893.jpg


前置きが長くなりましたが、
先日の撮影時に「へぇ~そんなことあるんだ。。。。」と言うか
「オスゥゥゥ~!!!」と言うか、、、、
まあとにかく初めて見る光景がありました。
動画を使うとよくおわかりいただけるのですが、
このブログに動画はUP出来ないようなので写真でご説明いたします。
まずは下の一連の写真をご覧ください。

オスって、、、_c0100239_15161847.jpg

オスって、、、_c0100239_15163747.jpg

オスって、、、_c0100239_15163895.jpg

オスって、、、_c0100239_15163898.jpg

白い噴煙が上がっています。
何の変哲もない放精放卵の一連の画像に見えますが、
画像内の真っ黒い魚は、その前の写真では卵を食べちゃいますと紹介したマダラタルミです。
バラフエダイの上昇とともに多数のマダラタルミも後を追いかけ上昇したのですが、
白い噴煙が上がった後、そのマダラタルミがまったく卵を食べるそぶりを見せずに
一斉にバラフエダイとともに下降したのです。

アレ?なぜ卵を喰わないのだろう????おかしいな???
ということでここからは僕の想像ですが、
この白い噴煙は精子のみで、卵は無かったのだと思います。
だからマダラタルミが反応しなかった。
つまりメスは放卵はしておらず、オスのみ先走って放精したのだと思います。

この画像内のバラフエダイの塊は、
なかなかメスが放卵する気にならないようで、
ずっと団子状のままグダグダグネグネと動き回っていました。
1匹のメスをたくさんのオスが押し包むように取り囲んで
グネグネと動いているさまは、
放卵するつもりのメスにオスが群がっている、というより
見方によってはオスに取り囲まれ逃げ場もなく、
そのオスどもから「オイ!まだか?まだか?まだなのか?」と
有言無言の圧力をかけられ続けているようにも見えました。

そしてようやく上昇するにはしたのですが、
メスはやっぱり放卵しなかった。
しかし先走ったオスの1匹が放精してしまい、
周囲のオスも(メスの姿なんぞほとんど見えていないオスの方が多いでしょう)
俺も俺も!と放精してしまった、ということではないかと思うのです。
しつこいオスどもに辟易したメスが
放卵すると見せかけてオスに放精させ、
オスどもを振りほどきたかったのかも???
こいつらの精子は嫌だ!と言わんばかりです。

というのも下の写真を見てください。
フェイク?の放卵行動で上昇、下降したあとに
メスは一目散で群れから離れて逃げ出しているのです。

オスって、、、_c0100239_16044324.jpg

真相はわかりませんが、
仮に嫌なオスのアピールにはフェイクの動きで放精させてしまいかわしてしまう、
という手段をバラフエダイのメスが備えているのだとしたら、
バラフエダイの世界も複雑なのかもしれませんね。
とにかくバラフエダイの産卵時にこういう光景を見たのは初めてですが、
それにしてもなんかオスって、、、、、と複雑な気持ちになってしまいました。

ではまた!









# by bmtomi | 2021-07-17 16:26 | ダイビング

グラスランド開発余話

先日6/8のカンムリブダイの産卵ダイブの様子を
会員サイトにUPしました。
ご覧になった方はお分かりの通り、ものすごい産みっぷりの大爆発でしたが、
そんなグラスランドの開発と、カンムリブダイの生態を解明した
サイドストーリーはHPにBMのポイント開発の歴史、ということで
掲載されています。

http://meluis.com/history.html

上記にも目を通していただくと、この先が分かりやすいのですが、
グラスランドにカンムリブダイの大群を目撃してから9か月間、
群れの出現を毎月確認したうえで、早朝ダイブに調査を移したわけですが、
今日はその初めての早朝調査ダイブの時の様子をちょっと書いてみようと思います。

今でこそ彼らが新月前に群れるのは産卵のためであり、
その産卵は早朝の時間帯の下げ潮に変ってから始まるので、
時間を合わせて早朝にお店を出発すればよい、
ということが分かりましたが、
一番初めはそもそも何のために集まっているのか?
それすら分かっていませんでしたので、
何が始まってもいいように、ということで
前日にグラスランドのお隣のウーロンチャネルに行き、
船上伯で一夜を過ごすことしたのです。

どういうことかというと、お店からグラスランドまでは35分かかります。
その35分の移動時間中にもし何かが行われていた場合、
見逃してしまうことになります。
そこでウーロンチャネルのブイを取って船の上で一晩過ごし、
時間を無駄にすることなく翌日の早朝から潜って調べる、としたわけです。

グラスランド開発余話_c0100239_11523933.jpg

前日の日没前にウーロンチャネルに到着、夕食を食べました。
明かりも無いので日が沈めばあたりは真っ暗で、僕らもすることはありません。
あとは寝るしかないわけですが、時間が早いのでそう簡単に寝ることもできません。
そこで一緒に来てもらっていた後輩スタッフが
ナイトダイビングをしたい、と言いだし。。。
ビビりの僕は外洋のナイトダイブを二人で行うなんて
嫌で嫌でたまらなかったのですが、
せっかくの後輩の願いなので嫌々エントリーしたわけですが、、、、

もうその時点で頭の中であれこれ膨らんで勝手に怖がっています。
僕はそういうタイプなのでお化け屋敷とかも嫌いです。
ほんとに怖いかどうか?というより勝手に想像だけで
自分で怖がってしまうタイプです。

それはともかく早速出てきました、、、
妄想ではなく実際に目の前にグレイリーフシャークがいます。
昼間だったら何とも思わないのですが、
夜に出会うと、とにかく気持ち悪い。。。。。怖い。。。。
こちらの視界はライトの範囲しか効きません。
ライトに照らされたと思ったらすぐに消え、
慌てて周囲を照らすと、あっという間に違う場所から現れ、
動きが俊敏です。
しかもよりこちらの恐怖を掻き立ててくれたのが、
たまたまなのか?ライトの光に目玉が反射して、
両目だけ異様に光ることがあり、その姿が気持ち悪いったらありゃしません。
ということで10分で早々にギブアップしました。。。

パラオが入島制限を初めて1年以上が経ちダイバーも激減、
カンムリブダイの群れ具合などが調査していた頃に似てきており、
ふとその頃を思い出してしまったので、調査にまつわる話を書いてみました。
10年以上も前のナイトダイブの事なのに、いまだに記憶にあるので、
相当怖い思いをした、ということでしっかりと記憶されているんでしょうね~。

ではまた~

# by bmtomi | 2021-07-09 11:58 | 調査ダイビング

ブルーコーナー

先月の6日、久しぶりにブルーコーナーに潜りました。
その時のダイビングの様子はすでに会員サイトに配信済みですが、
普通にコーナーに潜ったのは半年振りです。
上げ潮、マクロ穴経由で一通りのレギュラーメンバーを網羅し
とってもいいダイビングでした。
久しぶりだった、ということもありますが
やっぱりブルーコーナーってすごいなぁ~と
つくづく思いました。

ブルーコーナー_c0100239_12002592.jpg

そんなブルーコーナーには数えきれないぐらい潜っています。
そのすべてのダイビングをさすがに覚えていませんが、
記憶に残っているブルーコーナーのダイビング、というのは何本もあります。
そのうちの1本は一番最初に潜った時のものです。

偶然ですが、パラオにきて初めて潜ったのがブルーコーナーだったんです。
もちろんいきなりガイドはできませんので、
アシスタントとしてお客さんの後ろにくっついて潜りました。
下げ潮でした。
エントリーしていきなりクマザサハナムロやウメイロモドキのカーテン、
魚影が濃いな~とまず思ったのを覚えています。
それまで私のダイビングの経験はマクロが中心でしたので、
その後も次々に出てくる魚群や、大物、アイドルと言われる魚のオンパレードに
度肝を抜かれたのを覚えています。

ブルーコーナー_c0100239_12012894.jpg

そしてエキジット後に、
今日は特に大当たりしたわけではなく、これが日常なんだと言われ、
その後、何回かブルーコーナーに潜るうちに
その言葉が真実だったことを身をもって知り、
凄げ~な、、、という思いが改めてジワジワと
心の中に広がっていったのを覚えています。

ブルーコーナーの凄さは、
とても狭い範囲に魚が集まっているため潜ると次々に魚群に会えること、
そして深度がダイバーにとっては程よく、深潜りせずともダイビングが終わる事。
以上の2点に尽きます。
あらゆる条件が重なり合い、自然が生み出した奇跡のようなポイントです。
ここまでよくできたポイントはパラオにポイントが数限りなくある中、
他にはありません。
何らかの要素でブルーコーナーを超えるポイントはいくつも存在していますが、
(それはそれでまた堪らない魅力なのですが、)
総合的にブルーコーナーを超えるポイントはパラオにはないと思います。
だからこそパラオの金看板として長年エースを張っているのだと思っています。

ではまた~

# by bmtomi | 2021-07-04 12:38 | ダイビング